5月の詩
引揚げ文学として後藤明生や小林勝の小説に引きつづき、「満洲」からの引揚げ者である詩人・小説家の木山捷平(1904~1968)の作品を読み始めました。木山は、長春で敗戦を迎え難民となりますが、この話はもすこし小説を読み進めたあとに、紹介したい。今回は、小説巻末の解説に引用されていた木山捷平の書いた『ふるさと』という詩を取り上げます。思わず「ああ~っ」とため息を漏らすほどに、心ひかれた詩です。
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引揚げ文学として後藤明生や小林勝の小説に引きつづき、「満洲」からの引揚げ者である詩人・小説家の木山捷平(1904~1968)の作品を読み始めました。木山は、長春で敗戦を迎え難民となりますが、この話はもすこし小説を読み進めたあとに、紹介したい。今回は、小説巻末の解説に引用されていた木山捷平の書いた『ふるさと』という詩を取り上げます。思わず「ああ~っ」とため息を漏らすほどに、心ひかれた詩です。
隣家のSさんは先月、近くの竹林でタケノコ掘りをしているとき突然、目のまえに大きなイノシシが現われ、思わずドキッとした、と話しました。秋になると地区のあちこちで、イノシシによるサトイモやサツマイモの被害のことが、話題になります。被害は農作物だけではありません。Nさんの飼い犬は、夜間、庭に繋いであったところをイノシシに襲われ、激しく争ったうえ噛みつかれて重傷を負い、その後、亡くなりました。また、となりのバイク店の店長夫妻は数年前、夜、車での帰宅途中、近くの県道でシカに衝突され、車を壊されました。高崎駅から10㎞ほどの中山間地での鳥獣害被害は、このように広がっています。
安倍首相が「9条に自衛隊を明記し、2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と改憲派集会にビデオメッセージを寄せた日の翌日、作家・作詞家のなかにし礼さんは朝日新聞紙上で、「首相は憲法を尊重し擁護する義務を負っているのに、改正の期限を切るなどというのは大問題」だと批判しました。なかにしさんは、「戦争をしないことをうたう日本国憲法は世界一です。特に前文は人類の進化の到達点だといってもいい。世界に誇れる芸術作品」だと語りました(朝日新聞5/4)。この記事の中で、昨年発表された小説『夜の歌』のことが取り上げられ、これこそ最新の「引揚げ文学」だと思い、早速読んでみました。
朴裕河著『引揚げ文学論序説―新たなポストコロニアルへ―』で取りあげられた小林勝の作品を、読みました。朴氏は、小林勝という作家について、「植民地とされた朝鮮で生まれて、43年というあまりにも短い生涯を「朝鮮」とそれをめぐる心象風景を描くことに捧げた作家であった」と紹介します。今、この作家について論じることは出来ませんが、彼の作品で表現された植民地・朝鮮についての記憶を、いくつかメモしておきたい。
4月29日(土)の朝日新聞連載の『折々のことば』(鷲田清一稿)に、思わず注意をひかれました。憲法読本についての記述でした。(以下全文引用)
ごくあたり前のことをきちんとしてさえいれば、妙な変化球に勝つチャンスは十分にある。
松永真
日本国憲法をそのまま書籍化してベストセラーになった本がある。そのブックデザインを手がけたグラフィックデザイナーは憲法を人びとの身近にまで「引きずり下ろす」ため、形としては美しく力強いが、惨劇の記憶も折り重なる日の丸を、水玉模様のポップな柄にし、本文の活字も大きくした。一にシンプルな真っ当さを追求して。「松永真、デザインの話。」から。(以上『折々のことば』4/29から)