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2017年5月 2日 (火)

水玉模様の『日本国憲法』

 4月29日(土)の朝日新聞連載の『折々のことば』(鷲田清一稿)に、思わず注意をひかれました。憲法読本についての記述でした。(以下全文引用) 

 ごくあたり前のことをきちんとしてさえいれば、妙な変化球に勝つチャンスは十分にある。
                                                   松永真
 日本国憲法をそのまま書籍化してベストセラーになった本がある。そのブックデザインを手がけたグラフィックデザイナーは憲法を人びとの身近にまで「引きずり下ろす」ため、形としては美しく力強いが、惨劇の記憶も折り重なる日の丸を、水玉模様のポップな柄にし、本文の活字も大きくした。一にシンプルな真っ当さを追求して。「松永真、デザインの話。」から。(以上『折々のことば』4/29から)
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 ずいぶん昔に、この本を娘にプレゼントしたことを、思い出しました。はたして、娘の残していった書棚に、この水玉模様の『写楽BOOKS 日本国憲法』(小学館1982年4月20日初版発行)を発見しました。間違いなく、「装丁デザイン 松永真」とありました。私の購入した本は、「1983年4月20日 初版第16刷発行」となっており、当時ベストセラーとなったことを窺わせます。
 表紙は表裏とも、日の丸を模したという水玉模様でデザインされ、ビニールカバーがかけられています。表紙をめくった見返しは、赤地に白色の水玉模様に反転します。扉には「愛と平和と自由のために Love,Peace and Freedom(Still)」と記されています。最初のページは、人工衛星から眺望した地球の姿が俯瞰され、更に次ページに、大洋に浮かぶ日本列島の写真が載せられています。
 「日本国憲法」と書かれた表題ページの左下には、「5/11 私の中学校の入学祝に 父から」と娘の書いた添書きがありました。この表題ページをめくると、ページいっぱいに大写しされた人の眼球が飛びだしてきて、ぎょっとさせられました。以下、条文2ページと写真2ページ(1枚)が交互に配置され、条文の文字は大きく、すべての漢字に振り仮名が付けられ、漢語からなる熟語には、小学館刊「国語大辞典」から引用した意味が付されています。あくまでも、読みやすく、わかりよく、飽きさせないように、工夫されています。
 この本が発行された1982年は、日本国憲法施行35周年の年です。今年が日本国憲法施行70周年ですから、ちょうどその半分の年にあたります。改憲論者・中曽根康弘が首相になる直前のころの発行です。憲法改正が、今ほどまでに差し迫っていない時代です。日本国憲法を身近で日常的な存在にしょうと努める人びとがいました。この本は、日本国憲法を広く読んで欲しい、という編集者たちの瑞々しい感性と並々ならぬ意欲を感じさせる、ちょっといい憲法読本です。明日の憲法記念日に、じっくり読んでみようと思う。

 
    
 

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