北ドイツ周遊記-祝祭の夜-
7/6 マーストリヒト(オランダ)Maastricht
ケルンからベルギーへ帰る途中、オランダ南部のマーストリヒトへ寄った。娘のリクエストで、欧米で大人気のアンドレ・リューとヨハンシュトラウス・オーケストラ André Rieu And His Johnn Strauss Orchestra のコンサートを聴くためだ。
会場の広場に着いた時にはすでに、予想の付かない人数の(日比谷野音の10倍位の感じの)観客が、詰め掛けていた。会場広場の周りのカフェーもまた、すでに満席だ。
地元吹奏楽団が登場し、いやがうえにも会場は、盛り上がる。やがて、今夜の主人公・アンドレ・リューが、マーチの曲にのって登場だ。会場が総立ちになって、彼とその楽団を迎えた。
マーチのあとは、3人の男声歌手によるカンツォーネ「ヴォーラーレ」熱唱。「ヴォ―ラーレー オーオー! カンターレ オオオオー!!」と歌手と観客が大合唱、コンサートが始まってすぐに、観客はその心を鷲掴みにされた。一転、ソプラノの歌い上げるアリアには、会場はシーンと静まり返った。
ワルツの演奏に合わせ、数百組の着飾った踊り手たちが登場し優雅に踊り始めると、会場は一気に華やかな雰囲気に包まれた。この楽団の十八番「美しき青きドナウ」が演奏されるや、会場から一斉に、様々なペアが通路に出て、踊り手たちとともにワルツを楽しんだ。客席の観客も隣の人と腕を組み合わせ、身体をおおきく揺すってともに踊った。
プログラムの最後は、ベートーヴェン「第9」から歓喜の歌。オペラ歌手も合唱隊も、そして観客もこぞって、心を込めてオー・フロイデと声を合わせた。ヨーロッパの地で聴く「歓喜の歌」は、なんとも言えない感動を覚えた。。
こうしてコンサートは終わった、はずだったけれど、そしてアンドレ・リューが観客に向かって、さあ、早く帰ってワインを飲んで、眠りにつきなさい!と帰宅を促したけれど、観客は一斉に「ノー!!!」と叫び、アンコールを求めた。こうしたやり取りが繰り返された後、ここからが本番といった感じのアンコール演奏が始まった。ロックがありポップスがあり、YMCAなんてあれは70年代のポップかな、前の座席に座っていたアメリカ人青年の二人はしらけ切っていたけれど、圧倒的多数の中高年の観客は、両腕をあげて「Y・M・C・A」を踊った。
興奮と喝采の3時間だった。旅行という非日常から日常へと戻っていくのに、これ以上ふさわしい祝祭があっただろうか。深夜となった帰路、この旅行最後のワインを娘とともに味わい、北ドイツ旅行とコンサートの余韻を楽しんだ。
老いつつある父の「修学旅行」につき合い、しかも運転・通訳・案内の役割を一身に果たしながら、終始にこやかに同行してくれた娘に、心からの感謝の言葉を贈りたい。
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