富岡『世界』を読む会・2月例会の報告
富岡『世界』を読む会・2月例会が、2月15日(水)の午後、5人の参加を得て開催されました。
テーマは、①沖縄対外問題研究会『「沖縄返還」50年を超えて—基地の島からの主張」、福田康夫インタビュー『習近平の中国とどう向き合うか』、②坂田雅裕『憲法九条の死』、蟻川恒正『「解釈変更」という擬態—この10年間のこの国の政治を考える』の3つの論文と1つのインタビューを取り上げました。
Ⅰ.沖縄対外問題研究会『「沖縄返還」50年を超えて—基地の島からの主張』、インタビュー・福田康夫『習近平の中国とどう向き合うか』について
研究会の主張①沖縄を「辺境の島」から「津梁の島」へ、②台湾危機回避のため、日・米・中は平和的手段の創出を、➂日本は軍備増強に歯止めを、の3項目に、全面的に賛成の声があがった。しかし現状は、沖縄を日本有事の防波堤とし、日米の政治家たちの不用意な台湾訪問と対中挑発、そして軍備拡大。貴重な研究会の主張を是非、野党共闘の共通施策として取り入れ、メディアへの露出のはかりつつ、国民的議論に持っていきたいものだ。
表題『「沖縄返還」から50年を超えて』から、もう少し沖縄そのものにフォーカスした内容を期待したが、論考は台湾を巡る米中の葛藤と日本の外交に終始していた、との感想が出された。
中国外交を「拘束」している要素のうち、「中国の歴史と人々の記憶」に注目した。ロシアのウクライナ侵攻を論じる中で語られている「大ロシア主義」と類似した指摘だ。同様のことをインタビューで福田康夫が語っている。アヘン戦争以来の半植民地でバラバラな状態に陥った「その国を再構築し昔の夢を取り戻そう」というのが中国の中核的立場の人々の「思い」だと。
福田康夫のインタビューでは、保守リベラルの対中認識が明快だ。こうした声は、自民党内部からはなかなか聞こえてこない。メディアによる掘り起こしを期待したい。
Ⅱ.阪田雅裕『憲法九条の死』、蟻川恒正『「解釈変更」という擬態—この10年間のこの国の政治を考える』
阪田論文の表題「憲法九条の死」にギョッとさせられた。九条の規範性を一枚一枚はがしていくと最早、すっぽんぽんで何も残っていない。非武装→非武装志向→専守防衛/集団的自衛権容認→敵基地攻撃能力の取得。/の前までは、なんとか9条の規範性のエッジが効いていたのが、/を乗り越えた結果、九条は危篤状態となり、そして今、敵基地攻撃能力取得でもって「憲法九条の死」となる。そしてこの先には、「非核三原則」の破棄、核の共用化、そしてついには核武装化が待っているのか?
阪田、蟻川両論文で重なっているのが、政治に蔓延しているウソと虚偽。しかも国家の基本である「憲法」をも犯している。モラルのなさに危機感を持つ、という感想が出された。
Ⅲ.3月例会の案内
1.月日:3月15日(水)14.00-16.00時、吉井コミュニティセンター
2.課題:(1)世界史の試練 ウクライナ戦争 ①野村真理『西ウクライナの古都リヴィウが見てきたこと』
②小山 哲 『ポーランドから見た「ウクライナ侵攻」』
(2)保育の貧困 田淵紫織『「保育の質」はなぜ失われてきたか』
以上
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