富岡『世界』を読む会・10月例会
富岡『世界」を読む会・10月例会は、体調不良の方々が重なり、中止となりました。
なお、今月のテーマは、『世界』10月号から、①ジークハルト・ネッケル『環境破壊をもたらす富豪層』②小泉悠『ウクライナ戦争をめぐる「が」について』の二論考でした。ひとり読書会ですが、各論考の論点を整理しておきます。
Ⅰ.ジークハルト・ネッケル『環境破壊をもたらす富豪層』
過渡の富の集中こそが、気候変動被害・環境破壊の主たる原因である、とする。理由として①所得階層の上位1%が温室効果ガスの17%を排出している、②貧困層や中間層の温室効果ガス排出量は、微増ないし減少しているにもかかわらず、超富裕層の排出量は大幅に増加している、③超富裕層は、経済投資によって膨大なCO₂排出の原因となっていることを挙げている。
富裕層や超富裕層のグローバル・エリート層が、その桁違いの浪費と投資によって気候変動原因となっていることから「環境汚染エリート」と命名され、論旨は明解である。環境汚染エリートよりも、貧困層や中間層に対して気候変動対策をもっとと要求するのは正義に反すると論じている。
Ⅱ.小泉悠『ウクライナ戦争をめぐる「が」について』
これは『世界』読者に対する挑戦状だ。筆者の結論は、日米同盟堅持と日本の防衛力増強だ。
疑問が幾つかある。①安全保障の専門家はなぜに軍事のみを語り、外交について語らないのか。軍拡から軍縮へのベクトル転換の可能性を早々に諦めている。②80年以前の東アジアの半世紀に及ぶ歴史は、大日本帝国による侵略の歴史であった。近隣諸国が日本に警戒感を抱くのは、ある意味やむを得ないことだ。戦後、軽武装・経済重視を旨とした平和憲法を持つ日本が、如何にアジアの国々に安心感を与えてきたかを、今一度想起すべきだ。
Ⅲ.富岡『世界』を読む会・11月例会の案内
1.日程・場所:11月15日(水)14.00-16.00時、吉井町西部コミュニティ・センター学習室(2F)
2.テーマ:①丸山真央『維新の会の「中抜き」政治はどこに向かうのか』
②水島治郎『「自由と寛容」をめぐるせめぎあい—オランダから考える—
以上
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