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2024年1月18日 (木)

富岡『世界』を読む会・1月例会の報告

 富岡『世界』を読む会・1月例会は、1月17日(水)14.00-16.00時、高崎市吉井町西部コミュニティセンターで5人が参加して開かれた。今月のテーマは、①岡 真理『この人倫の奈落において―ガザのジェノサイド』、②駒込 武『植民地主義者とはだれか—台湾とパレスチナのいまを貫く問い』および福嶋 亮大『事故と故事のあいだ—膨張する中国のナラティブ戦略』の3論考だった。

Ⅰ.岡 真理『この人倫の奈落において—ガザのジェノサイド』、駒込 武『植民地主義者とはだれか—台湾とパレスチナのいまを貫く問い』
 今、ガザで起きているのは、イスラエルによるパレスチナ人に対するジェノサイドであり、抵抗する被植民者とそれを殲滅せんとする植民地国家との植民地戦争だ、と筆者は看破する。その論理は、鋭利で直截で論争的だ。参加者で賛否が割れた。批判者は、ハマスによる攻撃の非人道性とともに、それがイスラエルの報復の口実となったことは想定の範囲だった、とハマス側の問題性も指摘した。賛同者は、建国から現代までのイスラエルによるパレスチナ人に対するアパルトヘイトとジェノサイドは隠しようのない史実であり真実である。筆者の力強い論考に賛同する、と感想が述べられた。
 駒込氏の論考は、岡氏の論考と響きあうとともに、韓国ほどにその歴史が知られていない台湾の歴史にフォーカスし、日本の植民地時代の台湾支配の実相を、参加者で共有し合った。

Ⅱ.福嶋 亮大『膨張する中国のナラティブ戦略—事故と故事のあいだ』
 漢字で表現された中国のナラティブ戦略。アヘン戦争以来の国難を象徴した「百年国恥」という言葉は、近代史のネガティブな側面を強調し、「悲劇の共有」でもって国内をまとめてきた。しかし近年、中国の「大国」としての自画像を描くために、歴史におけるポジティブな側面を引き出そうとしている。習近平の推奨する「講好中国故事」(中国の物語をよく語る)は、一帯一路を「新しいシルクロード」として語り、中国が経済大国であるとともに道徳大国であることを兼ね備えた超国家的なアイデンティティを欲望している、とまとめている。
 簡易ながら刺激的な論考だと思った。

Ⅲ.富岡『世界』を読む会・2月例会の案内
1.月日・場所:2月21日(水)14.00-16.00時、吉井町西部コミュニティセンター
2.テーマ:(1)「特集1 リベラルに希望はあるか」から①小熊 英二『戦後日本の「リベラル」と平和主義』、②石川 健治『「世界」の起源』、(2)上脇 博之『安倍派パーティー券事件の深層』、三浦まり『政治とカネ もはや政治改革は不可欠』
                             以上


 

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