富岡『世界』を読む会・5月例会の報告
富岡『世界』を読む会・5月例会は、5月17日(金)14.00-16.00時、吉井町西部コミュニティセンターにて5人の参加で開催された。テーマは、『世界』4,5月号から、Ⅰ.沖縄関係記事 ①玉城デニー×片山善博「それでも沖縄は声をあげ続ける」 ➁親川志奈子「沖縄から先住民族の権利を求めて」(以上5月号) ➂阿部藹「なぜ沖縄は国連に訴えるのか」(4月号)、Ⅱ.後藤周×平井美津子「「負の歴史」をなぜ教えるのか」だった。
Ⅰ.沖縄関係の対談・論考について
現在国会では、地方自治法改正案が議論されている。国から地方への「指示権」を与えるというもの。拒否すると違法という強い権限だ。すでに沖縄では、国と地方が対等協力の関係という建前を崩し、国は辺野古基地建設にともなう埋め立て工事を強行している。玉城知事は、これは沖縄への構造的差別だ、と訴える。この訴えを司法も本土のメディアも取り上げない。沖縄の県と市民団体とは、国連の場で自分たちの訴え聴いてもらおうと行動している。しかし、これで展望が開かれているわけではない。玉城知事は対談の最後に、世界に広がるウチナーネットワークとともに、沖縄をアジア・太平洋地域の平和の島として沖縄の地方自治を展開していきたい、と決意を述べた。
沖縄の人びとを先住民族とする、という親川論考については、異論が出された。沖縄への構造差別はむしろ、「琉球処分」からつづく日本の植民地主義の問題ではないか。一方、国連の「先住民族の権利宣言」にある①自己決定権 ➁平和的生存権 ➂言語・歴史の継承権 ④土地・資源の所有権 ⑤有害物質廃棄・軍事行動による生存権は、①—⑤全項目が沖縄で失われている権利であり、沖縄はまさに、権利喪失の危機にある「先住民族」となる。
Ⅱ.「「負の歴史」をなぜ教えるか」について
対談は、「なぜ教えるか」よりも「どのように教えるか」を、対談者の実践を通して丁寧に追っている。感情でもなくプロパガンダでもなく、エビデンスを重視して生徒たちに考えさせる。対談の趣旨からいって、「負の歴史」と決めつけるのではなく、「加害の歴史」「虐殺の歴史」と史実をそのまま表現すべき、との意見があった。歴史修正主義者たちからの妨害のなか、二人の中学校教師の並々ならぬ歴史研究と教育実践の努力に、一同賞賛の言葉をあげた。
Ⅲ.6月例会の予定
1.日 程:6月20日(木)14.00-16.00時、吉井町西部コミュニティセンター学習室(2F)
2.テーマ:『世界』6月号から ①神里達博『「紅麹」サプリ事件の深層』 ➁渡邉琢『「ALS嘱託殺人」と隠蔽されたもうひとつの事件』(前編・後編) ③星浩『滅びゆく日本、再生への道』(できればバックナンバー含め第1回~第8回) 以上
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