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2025年4月18日 (金)

富岡『世界』を読む会・4月例会の報告

 富岡『世界』を読む会・4月例会は、4月17日(木)14.00-16.00時、高崎市吉井町西部コミュニティセンターにて、5人の参加で開催された。テーマは『世界』4月号から、①権 容奭(クォン ヨンソク)『「民主韓国」と日本』、②遠藤誠治『自由民主主義と国際秩序再構築の鍵』及び③中川七海『21世紀の公害PFOA』の3稿だった。

 Ⅰ.権 容奭(クォン ヨンソク)『「民主韓国」と日本-国交正常化60年、乙巳条約120年を迎えて』 
 2025年は日韓・日朝の歴史にとって、いくつもの「〇〇周年」の年である。表題以外でも、日清戦争130周年、朝鮮共産党結党100周年、韓国・朝鮮の植民地解放80周年。しかし日韓両国の間には共に、これらの歴史を振り返り和解と友情を深める動きはない。権は、日韓関係が成熟していくためには、「正常化60年」だけでなく「不正常な60年」をもたらした乙巳(1905
年)の時代にまで遡って、歴史構造から理解する必要性があると提起する。
 本稿のキーワードは、「民主韓国」。韓国憲法前文には、三・一運動(1919/3/1)と四・一九民主理念(1960/4/19)の理念継承が明記されており、
韓国が植民地解放と民主化運動の歴史を踏まえた民主主義国家であることを表している。そして尹錫悦(ユンソンニョル)による非常戒厳「12・3内乱」という国家存亡の危機にあたり、市民たちの見せた非暴力抵抗の底力は、「民主韓国」の力量発揮を世界に知らしめ、大きな感動を与えた。参加者一同、韓国の人々の民主主義を願望し守り抜いていこうとする熱量の高さに、強い共感と尊敬を感じたと感想を述べた。

 Ⅱ.遠藤誠治『自由民主主義と国際秩序再構築の鍵』
 戦後80年の資本主義世界は、「自由主義的国際秩序」の形成と融解の歴史であったと遠藤は指摘する。前半期は、多国間・二国間で取り決めた国際ルールのもと相互利益に基づいた予測可能性の高い国際秩序が形成されてきたが、後半期には、新自由主義とグローバル化の進行によって、その秩序は融解してきた。そこにトランプが登場し、いよいよ「自由主義的国際秩序」は崩壊の危機を迎えている。 筆者のいう「平等主義、多国間協力、長期的持続性のビジョン」に納得。

 Ⅲ.中川七海『水道水の汚染はなぜ 21世紀の公害PFOA』
 キーワードは、『公害温存システム』。①汚染原因企業の存在、②汚染企業側につく行政、③企業・行政に加担するメディア。高度経済成長期に荒れ狂った公害と同じ図式の再現だ。米国基準4ナノグラム/㍑、日本暫定目標値50ナノグラム/㍑、岡山県吉備中央町測定値800ナノグラム/㍑、大阪府ダイキン起因の淀川支流測定値67,000ナノグラム/㍑。恐怖の測定値だ。

 Ⅳ.5月例会の案内
1.日程等:5月22日(木)14.00-16.00時、吉井町西部コミュニティセンターにて
2.テーマ:『世界』5月号から①主:小林泰明『トランプと「テック・オリガルヒ」との危険な関係』、②従:橋本勉『テック起業家たちのイデオロギー』、および③内海愛子×後藤乾一×成田龍一座談会『「大東亜共栄圏」から捉え直す日本の戦争』

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