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2025年7月19日 (土)

富岡『世界』を読む会・7月例会の報告

 富岡『世界』を読む会・7月例会が、7月17日(木)14.00-16.00時、高崎市吉井町西部コミュニティセンターにて、5人の参加で開催された。テーマは、『世界』7月号から、①ナオミ・クライン、アストラ・テイラー『終末ファシズムの勃興』と、ミソジニ-関連の、②小川たまか『女性への制裁という「エンタメ」』および③三浦まり『「変わらない」を変える―バックラッシュとミソジニー』の3稿。

 Ⅰ.終末ファシズムの勃興
 長文、聞きなれない言葉群、氾濫するテック富豪たちの名前等々、参加者一同戸惑いと不満を述べた。翻訳者や編集部による解題と訳注があれば不満は払拭できたのではないか。しかし、読み進めよう。
 宗教右派や極右と連携したハイテク富豪たちの夢見る未来は、全体主義・暴力主義・選別主義の跋扈する終末ファシズムである。そこは、希望に満ちたいかなるビジョンもなく、選ばれた少数者のみが繁栄している。彼らは洪水を引き起こそうとしており、破局カタストロフィから利益を引き出すだけでなく、みずから破局そのものを引き起こそうとしている。根底から枯渇してしまった地球と改造された火星において、なんとか自分たちだけが生き延びようというビジョンだ。
 こうしたべら棒な論議が一定のリアリティを持つのは、トランプ2.0のなかにその予兆を見い出すからだ。p24で紹介される邪悪でおぞましい行為の数々だ。またホンジュラスのプロスペラで研究されている寿命を延ばすための研究が紹介された。これは当然にして選ばれたもののみが享受できる新しい医療技術だ。しかし筆者は指摘する。愛する子供たちや地球上のすべての生命体への義務を呼び戻し、この世界の驚異と美しさを取り戻す準備ができた人々が数を増やすだろう、と。

 Ⅱ.ミソジニー
 邪悪でおぞましい事象が、日本でも起こっている。10代女性の支援活動を行うコラボに対する執拗な攻撃だ。攻撃者は、デマや捏造に対してコラボ側から名誉棄損罪で起訴され、敗訴が続いてもなお、攻撃を続けている。彼らの裁判費用は、不特定多数の支援者からの寄付に依存している。攻撃者の発信がSNS上で支持を集め、コラボや関係者が熾烈なバッシングを受ける背景の一つに、「ミソジニーの収益化」があると指摘する。そこでは、訴訟費用や賠償金の支払いが痛手になるどころか、むしろ「稼ぐことができる」状況がある、と。こうした事象の奥深い背景に、日本社会で取り残され強いストレスを抱えた多数の人々がいること、そして政治が彼らに向き合おうとしていないこと、との指摘があった。

 Ⅲ.8月例会の予定
1.日程等:8月21日(木)14.00-16.00時、吉井町西部コミュニティセンター 2F学習室
2.テーマ:『世界』8月号から
        第Ⅰ部 遠い平和 ①宇野重規×国谷裕子『メディアは公共性を取り戻せるか』 
               ②柳井正×寺島実郎『日本滅亡を回避できるか』
        第2部「戦後」の現在 ③大澤真幸『戦後80年 最初と最後の政治風景』p.147-「現
在の日本人の政治意識」以降中心
                                                                                                     以上

 


 

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