富岡『世界』を読む会・9月例会の報告
富岡『世界』を読む会・9月例会は、9月25日(木)14.00-16.00時、高崎市吉井町西部コミュニティセンターにて、6人の参加で開催された。テーマは、『世界』9月号から、〈特集1.政党政治の果て〉の3論考(①安田浩一『「最悪の選挙」が残したもの』、②橋本直子『「外国人デマ」に向き合う』、③宮原ジェフリー『「声なき声」の参政党支持』)と、〈特集2.ガザのいま、中東の未来』〉の2論考(④清田明宏・金子由佳『飢餓の構造』、⑤ハミッド・ダバシ『パレスチナから目を離すな』)。
1.特集1.政党政治の果て
7月の参院選は、極端な外国人排斥・ヘイトスピーチによって「最悪の選挙」となった(安田浩一)。その背景には、格差社会における貧困層の拡大がある、との指摘があった。身近な問題として、例えば介護施設の日本人従業員の場合、夜勤勤務が外国人労働者に集中し、楽になった反面手当減となり不満がたまっている、という。何気ない日常に潜む「外国人忌避」。極端なヘイトスピーチをする候補者に拍手を送る市民の存在が、当該外国人に「僕は怖い」と恐怖感を与えている。この報告は重い、と共感しあった。
参政党の躍進とその背景を論じた2論考(橋本直子、宮原ジェフリー)は、参加者のこの党に対する関心を強く喚起した。論壇誌を含めたメディアは、参院選結果をもって参政党躍進を論じているが、すでに地方議会レベルで参政党が着実に浸透しつつあったことが指摘された。また、富岡市における参政党の地道な日常活動が紹介された。有機農業の会や各種学習会の開催、定期的な街宣活動など。この党の躍進は、革新・リベラル政党の後退とコインの表裏だ。「日本人ファースト」批判が逆に、参政党支持を広げたのではないかとの感想が出された。
2.特集2.ガザのいま、中東の未来
国連は、米国・イスラエル主導で設立されたGHF(ガザ人道財団)を、武装化された支援モデルであり「死の罠」「殺戮の場」と非難した(清田明宏)。この財団を運営するのは、民間軍事会社。直接の戦闘、施設・車列の警備、軍事教育、兵站など、多岐にわたるサービスを提供している。カルロス・ゴーンの国外逃亡を請け負ったのも彼らだ、と紹介された。GHFの設立にボストンコンサルティンググループ(BCG)が関わっている、という(金子由佳)。BCGは、「パレスチナ人50万人移住」プランを作成し、国際的な非難の的になっている、と報告された。BCG日本支社には、1000人以上の日本人社員が務めている、という。日々TV画面に映し出されるガザの人びと、とりわけ幼児や子供たちの悲惨な有様をみるにつけ、我々の身近に加害者としてのBCGが存立していることの当事者性を感ぜざるを得ない。
3.10月の予定
(1)開催日等:10月16日(木)14.00-16.00時、高崎市吉井町西部コミュニティセンター 2F学習室
(2)テーマ:Ⅰ.〈特集1.働き続ける私たち〉から、①濱口桂一郎『女性「活躍」はもうやめよう』、②田中洋子『短時間正社員』、③小山内園子『危うくてもスピードを落とせない自転車たちを救うこと』、およびⅡ.〈シリーズ夜店〉矢吹康夫『外見への差別はどうやってなかったことにされてきたのか』
以上
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