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2025年12月19日 (金)

『富岡』世界を読む会・12月例会の報告

 『富岡』世界を読む会・12月例会は、12月18日(木)14.00-16.00時、高崎市吉井町西部コミュニティセンターにて4人の参加で開催された。テーマは『世界』12月号から、①石山徳子『民主主義の最後の砦』②山本昭宏『「世界」がみた世界—その持続と変容』および③石井暁『「台湾有事」に突き進む日米同盟』の3稿だった。

 Ⅰ.石山徳子『民主主義の最後の砦—アメリカ公共図書館のいま』
  アメリカの公共図書館は、そこにかかわる活動的な担い手たちによって、「市民がみずからの成長のための知識の泉」であり「ホームレスの人びとのシェルター」あるいは「コミュニティのリビングルーム・ダンスホール」であると自己規定され、そしてそこは「民主主義の最後の砦」だと賛辞がおくられる。このように「ケア・福祉・ソーシャルワーカー・弱者救済」を現実化しているアメリカの公共図書館の存在に、参加者一同に、驚きと衝撃を受けた。アメリカ社会の地べたの民主主義の底力を見る思いだ。
 図書館の司書を勤めた参加者から、日本の図書館の現状について貴重な報告があった。「図書館の自由に関する宣言」(1954採択・1979改訂、(社)日本図書館協会)は、図書館は基本的人権としての「知る権利」を守ることを重要な任務とする、と高らかに宣言している。そして、公共図書館の予算と人員が減少の一途をたどっているなかで現在、「無料で長時間いられる場所」「貧困者・ホームレスに対するサービス提供」といった「新しい公共」の担い手としての「図書館再定義の流れ」があることが報告された。われわれ市民もひとりの利用者として、この「新しい公共」に参加していきたい。
 Ⅱ.山本昭宏『「
世界」がみた世界—その持続と変容』
 筆者は、1970,80年代の『世界』には「吉野源三郎路線」が踏襲されていた、と指摘
する。その三要素は、①直近の社会問題に関する批判的ジャーナリズム、②中長期的な展望・構想の提案、そして③これらの言論を支える戦争体験と日本国憲法に基づく戦後民主主義。①はT.K生『韓国からの通信』(16年間約190回の連載)、野間宏『狭山裁判』(20年間約240回連載)、そして現在は、片山善博『日本を診る』(16年間194回)、編集部『ドキュメント激動の南北朝鮮』(28年間341回)が「路線①」を踏襲している。②は、文中例示された坂本義和の一連の「平和構想論」が該当し、そして現在は、寺島実郎『能力のレッスン』(24年間282回)がそれにあたる。③は『世界』80年間1,000号に一貫して、通奏低音として流れる編集部の基本姿勢だ。
以上が「持続」面とすれば、ジェンダー論、地球温暖化問題、長期経済低迷と格差問題等のテーマは、「変容」を特徴づけるといっていい。
 Ⅲ.石井暁『「台湾有事」に突き進む日米同盟』
 「台湾有事」における防衛省の想定に、驚愕し恐怖すら感じた。第一段階 中国の台湾進攻、中台間戦闘の開始。第二段階 中米間戦闘の開始。第三段階 中国による在日米軍および自衛隊基地攻撃の開始。筆者は、この想定に基づく米軍と自衛隊の戦争準備の様相を報告している。こうしたなかでの高市発言。参加者からは、メディアは事態の深刻さに無自覚だ、と指摘された。台湾有事不干渉の気配すら感じるトランプ政権、自衛隊を前面に押し出し後背からアメリカ軍が自衛隊を支援する、こんなことすら想定される。

 Ⅳ.2026年1月例会の予定
1.日程等:2026年1月15日(木)14.00-16.00時、高崎市吉井町西部コミュニティセンターに於いて
2.テーマ:『世界』2026/1月号から、(1)米国関連論考 ①土屋和代『「ノー・キングス」デモの水脈—トランプのアメリカに抗う草の根運動』、②渡辺将人『何がマムダニをニューヨーク市長に押し上げたか』、③阿部幸大『戦争国家アメリカの平和—第一回 戦争なくして平和なし』、(2)国内政治 ④伊藤昌亮『「曖昧な弱者」とその敵意』。以上

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